医療関係者の皆さまへ

画像診断検査について

進化する熊本中央病院CT/MRI/RIの特徴

  1. 患者さんにやさしいCT装置を導入

CT検査が必要と分かっていても、CT検査を受けることによる患者さんの心配ごとは何でしょうか?たいていは放射線被ばくや造影剤に対する不安が挙げられます。放射線被ばくに関しては、従来では胸部レントゲン写真で約0.1mSvという単位の被ばくがありますが、胸部CTでは7mSv程度の被ばくが一般的でした。

そこで当院ではX線量を減らしても同等の画像を得ることが可能なiDose4という装置を導入することで、胸部だけでなく大部分の撮影領域で約半分の被曝線量で従来と同等の画像を取得することに成功しました。ちなみに、地球上で生活する上で年間必ず2mSvは被ばくすると言われ、かつ放射線被ばくによる障害のリスクが報告されているのは100mSv以上からですので、必要以上に心配する必要はありません。ただ、繰り返しCT検査を行う患者さんの心配もあることから、当院では同装置の導入に踏み切りました。当院でCT検査を受ける患者さんのほとんどがこの恩恵を受けることができます。

さらにこの機能では、造影剤量を減らしても同等の効果が得られることが分かってきました。このことから当院での造影検査ではほとんどの患者さんが従来より20-40%減量した造影剤で従来と同等の検査結果が受けられるメリットが得られます。特に腎臓の働きが低下している患者さんに福音です。熊本中央病院では患者さんに優しい検査を目指しています。

  1. 従来のCTとは別物? - スペクトラルCTとは -

CTに用いられるX線は連続X線(低エネルギーから高エネルギーまでのX線が混在)であり、そのため従来のCTではエネルギーが平均化されて中位のエネルギーレベルの画像しか作成できませんでした。(図1)

  1. 図1:通常のCTではX線をエネルギー毎に分離できないため平均的なエネルギーでの撮影になります。

ところが今回のスペクトラルCTでは低エネルギーから高エネルギーまで任意のエネルギーレベルのCT画像が取得(仮想単色X線画像)できるようになりました。(図2)

そのため1回の撮影で従来の1種類の画像取得から何と161種類の画像を取得可能になるという極めて多い情報を取得することが可能となりました。

  1. 図2:スペクトラルCTでは、低エネルギーから高エネルギーまで各エネルギー毎の画像を作成することができます。

低エネルギーレベルの仮想単色X線画像の特色は、造影剤をはじめとする実効原子番号が高い物質で顕著にCT値が上がるということです。よって造影CTでは同じ造影剤を用いても造影効果が抜群となりました。(図3・4・5)

  1. 図3:低エネルギー画像では造影効果が高いため、病変の広がりが明瞭化します。

  2. 図4:低エネルギー画像では造影CTにてCT値が上がるので、造影剤量を減量しても良好な画像を取得可能です。本患者は19mlの造影剤のみで良好な心臓CTの撮影ができました。

  3. 図5:横行結腸(→)に造影剤が集積していない様子が明瞭で、虚血性腸炎と診断可能です。

逆に言うと腎機能の悪い患者さんでも造影剤を最大1/4まで減量して、従来と同じ造影効果の画像を取得可能になるということです。従来であれば特に急患の場合に造影剤を用いることですぐに適切な治療を選択できると考えられても腎機能が悪いと造影剤を使用できず正しい診断ができなかった場合、治療が遅れ最悪の場合には転帰に関わる事態にもつながる場合もありました。ところが今回のスペクトラルCTでは造影剤を20-30ml前後で良好な造影CT画像を取得可能で、腎機能が悪い患者さんには朗報です。勿論腎機能が悪い患者さんでは造影剤使用の適応は厳格にすべきですが、造影剤を20-30ml程度で行った患者さんの中で後日造影剤腎症となった患者さんは現時点で皆無です。造影剤使用ガイドラインにも書いてあるように造影剤腎症のリスク回避に造影剤減量は多大な効果があるようです。また単純CTであっても、通常のCTでは描出が不明瞭な総胆管結石が低エネルギーレベルの仮想単色X線画像で劇的に描出しやすくなったことも経験しました。(図6)

  1. 図6:総胆管拡張所見ありですが、通常CTではその原因がわかりません。低エネルギー画像では総胆管結石嵌頓が明瞭化しました。

他方、高エネルギーレベルの仮想単色X線画像では、整形外科領域の金属留置部位のアーチファクト軽減に用いたり、急性期脳梗塞検出のコントラスト上昇に用いることも可能です。(図7・8)

  1. 図7:一般的に急性期の脳梗塞はCTでわかりにくいことが多いですが(左図)、高エネルギー画像ではしばしば急性期脳梗塞が明瞭化します。

  2. 図8:その直後の頭部MRIで急性期脳梗塞の診断が確定しました。

最後に物質弁別に有効である利点が挙げられます。多くのエネルギーレベルの画像が取得できることで物質弁別への可能性が広がりました。身近な例では、尿路結石の成分解析があります。単に結石があるという存在診断を行うだけでなく成分解析による治療法の検討まで可能になります。(図9)

  1. 図9:腎結石の組成検証のため実効原子番号画像を作成しています。上段は実効原子番号が低く尿酸結石、下段は実効原子番号が高くシュウ酸カルシウム結石と考えられました。

物質弁別機能を利用して造影剤画像や造影剤除去画像(仮想単純CT画像)を作成可能で、造影剤マップを用いると肺動脈血栓塞栓症の場合に肺血流マップを作成でき一見して肺血流欠損部位を確認することができるようになりました。(図10・11)

  1. 図10:肺動脈血栓塞栓症は通常、造影CTにて肺動脈内の欠損を探します。肺動脈血栓塞栓症の症例です。

  2. 図11:スペクトラルCTでは造影剤マップが作成できますので、肺血流マップとして表示可能です。このことで肺動脈血栓塞栓症がより明瞭化します。

現在では病変の質的診断や転移診断に応用可能か検証中です。(図12・13・14)

  1. 図12:胃癌の多発リンパ節転移が疑われた症例です。左上段の静脈内の欠損が腫瘍塞栓なのか血栓なのかが問題になりました。CT値ではリンパ節転移と同程度のCT値で、通常のCTでは腫瘍塞栓が疑われます。

  2. 図13:ところがスペクトラルCTでは仮想単純画像(左図)で高濃度、ヨード画像(右図)で低濃度ですので、血栓ということがわかります。

  3. 図14:スペクトラル曲線でも血栓のみ異なるカーブを描いていることがわかり、物質弁別に役立つ情報です。

今回のスペクトラルCTでは、従来のCTの概念では語れないメリットが多く存在し日夜活用法を検証 しています。今後とも熊本中央病院への紹介をよろしくお願い致します。

CT 検査を受けられる方へ

  1. 当院MRIの特徴

当院では3テスラおよび1.5テスラMRIを各々1台ずつ用い検査を行っています。3テスラMRI装置は世界初フルデジタルMRI装置を導入することできれいな画像を撮像することが可能になりました。3テスラMRIでは従来の1.5テスラMRI装置と比較して、ノイズの少ない画像を得ることができますが、頭部MRIや心臓MRI(図4)、非造影血管撮影(図5)などに特に威力を発揮します。

図4. 精度が上がった心臓MRI

冠動脈MRIは造影剤不使用、被ばくなしで撮影可能です。究極の非侵襲的画像診断と言えます。従来では精度の高い造影冠動脈CT、非侵襲的非造影冠動脈MRIという位置づけでしたが、スクリーニング検査(冠動脈病変のリスクが少ない患者さん対象)では、ほとんどすべて成功することが分かってきました。図は当院における3テスラ心臓ドックの最初から連続8人です。きれいに冠動脈が描出されています。

  • 図4-1

  • 図4-2

  • 図4-3

  • 図4-4


  • 図4-5

  • 図4-6

  • 図4-7

  • 図4-8

図5. 造影剤を使わないMRIによる血管撮影

近年のMRIの進歩で、造影剤を使用せずともきれいな血管の画像が得られるようになりました。図5-1は造影剤を用いたCTで3D画像で、図5-2は造影剤を使わないMRI像ですが、腎動脈の動脈瘤(赤矢印)が遜色なく描出されています。

  • 図5-1

  • 図5-2

当院の1.5テスラMRI装置は何度も機器のバージョンアップを繰り返したため、3テスラMRIと比較しても遜色のない画像を得ることができますが、2014年中に最新型の1.5テスラフルデジタルMRIに更新する予定です。

このことにより1.5テスラMRIに有利な躯幹部拡散強調画像(PETみたいな画像)(図6)や胸部MRIさらには条件付ペースメーカーを装着した患者さんにも質の高い検査を提供できると考えています。MRIは3テスラ装置が1.5テスラ装置に全ての面で優れているわけではないので、状況に応じて使い分けを行っています。

図6. 体幹部全体の拡散強調画像による悪性腫瘍評価

造影剤・被ばくなくMRIで拡散強調画像という手法を用いて、悪性腫瘍の評価が可能です。図は前立腺癌の多発骨転移の患者さんですが、半年ごとの経過観察で最初の治療が効果的でしたが、後に治療に抵抗性になって病変が増大(黒い部分が転移巣)していることがすぐにわかります(図1: 治療開始前、図2: 治療開始から6ヶ月後、図3: 治療開始から1年後)。

  • 図6-1

  • 図6-2

  • 図6-3

  1. 日本初!MRIガイド下前立腺生検開始

前立腺生検は一般的に超音波を使って行います。ところが、前立腺癌が超音波にて描出しづらい難点があるため系統的生検(前立腺をくまなく10-12ヵ所生検を行うこと)が推奨されています。このため生検による前立腺癌検出率は25-40%という成績です。当院ではこの系統的生検にMRIにて疑わしい部分を狙って超音波ターゲット生検を加えることで前立腺癌検出率が55-60%と全国平均より好成績です。

ただやはり超音波を使う限りにおいて描出能に限界があるため繰り返し生検になる患者さんもおられることも事実です。そこで近年諸外国で行われるようになってきたMRI室で行う生検をいち早く導入しました(図7)。

図7. MRIガイド下生検

直腸から針を刺して癌細胞かどうかの検査をします。前立腺のお腹側にある腫瘍疑い部分は超音波ガイド下では当たりにくいことが分かっています。そこで図7-1、2のようにMRIガイド下で直接狙って生検を行います。図7-3は実際に針が刺さっている様子で、前立腺癌の診断ができました。図7-4は前立腺手術を行って前立腺癌が証明されました。

  1. 図7-1

  2. 図7-2

  3. 図7-3

  4. 図7-4

この手技はMRIそのもので直接前立腺癌が疑われる部位を狙って生検を行うので、この手技以上の精度の生検はないほどです。このシステムを導入後、前立腺癌が疑われて繰り返し超音波下生検陰性の患者さんの多くの前立腺癌を検出することに成功しており、前立腺癌早期治療開始に役立てています。

  1. 当院RIの特徴

当院のRI(シンチ)装置は、SPECT(断層画像)やCTやMRIと融合画像を作成することが可能であり、質の高い検査を目指しています。心筋シンチ、骨シンチ、腎シンチ、脳血流シンチが検査の主体です。心筋シンチではCTを用いた吸収補正画像やCTやMRIとの融合画像を作成し狭心症や心筋梗塞患者さんの治療方針決定に役立てています(図8)。

図8. CTとRIの融合画像

RIだけでは実際の病変位置が分かりにくいので、この患者さんのように血管構造はCTで、病変心筋はRIで描出して、実際に治療の対象となる血管(青矢印ではなく赤矢印)を事前に決定することが可能になりました。

  1. 図8-1

  2. 図8-2

  3. 図8-3

骨シンチも最近ではコンピューター診断を取り入れ診断精度を上げています。脳血管内治療が最近当院でも行われるようになったため脳血流シンチが治療方針や治療効果判定に役立っています。

  1. くまちゅう画像ネット開始(地域医療画像連携ネットワークシステム)

熊本中央病院では平成24年から近隣の病院約50施設との間で「くまちゅう画像ネット」を開始いたしました。近隣の病院紹介の患者さんが当院で検査を受けた場合には、即座にオンラインで紹介病院への画像結果返送を可能としました。このことにより両病院での画像を合わせて経過観察することも可能となり、余分な検査を受けることもなくなりました。

また、オンライン検査予約も可能となりましたので、土日や深夜でも検査予約が可能となりました。実際にこのシステムを開始して、地域医療連携に役立つシステムであることを実感しています。

  1. まとめ

熊本中央病院は、患者さんに優しく精度の高い放射線機器の使用をモットーに常に最新に近い状態で使用できるようにほぼ毎年のように装置の更新やバージョンアップを行っています。また画像診断も装置1台毎に画像診断医が常駐し、迅速で正確な診断を心がけ日常診療を行っています。このため当院では外来検査後、即座に画像診断レポートを発行することが可能です。
 このような体制を整えていますので、熊本中央病院で安心して検査をお受け下さい。

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